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特集(メールマガジン第96号)

【障】地域障害者職業センターにおける事業主支援の取組み~コロナ禍における障害者雇用~

 昨年から生じている新型コロナウイルス感染症の感染拡大が私たちの生活や経済活動におよぼす影響はきわめて大きく、令和3年度においても終息の目途が見えません。このようなコロナ禍にあっても、当機構では、障害者の雇用の促進、職場適応のための支援を展開しています。
 今号の特集では、「コロナ禍における障害者雇用」をテーマに、全国47都道府県にある地域障害者職業センターの取組み事例や、企業への支援内容などについてご紹介します。

コロナ禍における障害者雇用の状況について

 長引く新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、雇用・失業情勢の厳しさが増しており、令和3年2月の全国の有効求人倍率は1.09倍と、前年同月値の1.45倍から大きく減少しています。障害者雇用についても、求人数の減少のほか、業務の縮小、勤務時間・勤務日数の減少など、職場定着や雇用の継続がむずかしくなるような状況が生じています。先行きが見えないことや雇用環境の変化により、障害のある方が体調を崩すというケースも見られました。
 このような厳しい状況ではありますが、地域障害者職業センターでは、新規就職をはじめ、雇用の継続に向けて、障害者、事業主双方に対して支援を実施しています。

地域障害者職業センターの支援事例

(1)業務縮小により従事していた仕事がなくなった障害者に対する職務創出の事例

 宿泊業の事業所から、感染拡大の影響により一時期は営業停止としていたが、ホテル再開後業績が悪化し、業務の削減などを行った結果、Aさん(知的障害)が主に行っていたシュレッダーなどの業務がなくなることとなり、どのような職務を任せればよいか悩んでいると相談がありました。
 Aさんのことをよく知る支援機関の職員の方と一緒に事業所訪問を行い、担当者からの聞き取りや、バックヤードなどの作業環境、業務内容を見学し、「Aさんが対応可能と思われる」、「だれかが行ってくれると助かる」業務の切り出しを行いました(社員の食事スペースの清掃、飛沫対策用衝立の消毒・拭き掃除、事務所内清掃、シーツ類のクリーニング前仕分け作業など)。また、いまは行っていないものの、できるとよい(サービスの向上につながる)仕事についても検討し、職務創出の助言を行いました(加湿機・空気清浄機清掃、清掃後のメッセージカードのストックづくりなど)。事業所では、Aさんに任せる仕事のイメージを持つことができたようで、雇用の継続につながりました。

(2)在宅勤務を検討している事業所に対して、精神障害者の雇用管理方法の助言を行った事例

 感染拡大の影響により、在宅勤務の導入を検討しているが、遠隔でのBさん(精神障害)の雇用管理をどのように行うとよいか、事業所から相談がありました。
 雇用管理においては、Bさんの勤務状況の確認に加え体調確認も重要になるため、日々のストレスや疲れ具合などをBさんと事業所が共有できる「体調管理シート」などの活用について助言しました。また、シフトに応じて出勤もあるとのことから、出勤時には面談し、体調や在宅勤務における困りごとの確認などを行うことが望ましいことをアドバイスし、コミック版の雇用管理マニュアルを提供しました。

 <コミック版の雇用管理マニュアル>
 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/manual/emp_ls_comic04.html


(3)オンラインにより雇用管理のためのセミナー(事業主支援ワークショップ)を開催した事例

 感染拡大の状況をふまえて、事業所向けの雇用管理のためのセミナー(事業主支援ワークショップ)をオンラインで開催しました。
 セミナーでは、精神障害者などの雇用の促進や定着について課題を感じている複数の事業所にご参加いただき、先行して取組みを進めている企業の担当者からこれまでの職務創出の経緯や背景、コロナ禍における職務設定の工夫、職場定着を含めた雇用管理上の工夫などの取組みについてお話しいただきました。
 また、各事業所が抱えている課題の解決に向けて、参加企業間で意見交換を行い、事例提供を行った企業ご担当者や地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーが具体的なアドバイスを行いました。
 参加した企業からは、他社も自社と同じ悩みを抱えていることを知り、そのうえで、他社の意見や取組みを聞くことができ参考になった。今後の取組みに活かしていきたいなどの声をいただきました。

地域障害者職業センターが実施する事業所へのサポート内容について

 地域障害者職業センターでは、障害者雇用を支えるために、障害のあるご本人に対する支援のほか、障害者雇用を進める企業のみなさまへの支援も行っています。
 採用計画の段階から採用後の職場定着まで、継続した雇用管理のご相談、各種支援を実施していますので、お困りの際には地域の障害者職業センターにお問い合わせください。
 障害者職業カウンセラーが職場を訪問して詳しくお話をうかがい、個々の事業所の取組み段階に応じて検討・実施が望ましい取組みについて積極的にご提案し、課題解決をお手伝いします。


《事業主の方へのサービス~(YouTube 視聴時間7分)》
 https://www.youtube.com/watch?v=bd9tloTJgWU(YouTube動画)
 
・全国の地域障害者職業センターの所在地・連絡先は下記URLをご覧ください。
 https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/index.html
・当機構の事業主に対する支援内容は下記URLをご覧ください。
 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/index.html
 
 

国立職業リハビリテーションセンター/国立吉備高原職業リハビリテーションセンターからのご案内

 当機構が運営する国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)および国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県加賀郡吉備中央町)では、求職中の障害のある方々に対して就職に必要な職業訓練や職業指導を実施しています。
 現在求職中の訓練生の情報については、各施設のホームページにて公開しておりますので、ぜひご参照ください。また、本情報に掲載していない訓練生も多数おりますので、障害者の雇入れを検討されている場合はお気軽にお問い合わせください。

<国立職業リハビリテーションセンター 訓練生情報>
 http://www.nvrcd.ac.jp/employer/trainee/index.html
<国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 訓練生情報>
 https://www.kibireha.jeed.go.jp/kyushoku/info.html


≪企業連携職業訓練のご紹介≫
 国立職業リハビリテーションセンターおよび国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、「新しい就業環境下では、業務の円滑・的確な遂行が困難となる訓練生」や「身体動作の制限のため、機器の改造や設備の変更が必要な訓練生」の雇入れを検討している企業との密接な協力により、センターでの特注型の訓練メニューによる訓練と企業内での訓練を組み合わせた職業訓練や採用・職場定着のための支援を行っています(企業連携職業訓練)。
 詳しくは下記より、各施設のホームページをご参照ください。

・国立職業リハビリテーションセンター 障害者の採用に係る事業主支援
 http://www.nvrcd.ac.jp/employer/support/index.html
・国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 企業連携職業訓練のご案内
 https://www.kibireha.jeed.go.jp/business/company.html


《本記事についてのお問合せ先》
 職業リハビリテーション部 指導課(TEL:043-297-9072)