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災害時の安心・安全向上に向けたプロジェクトチームの設置・対策の実践

株式会社ニッセイ・ニュークリエーション

災害時の社内体制・すべての障害

改善前の状況

1 災害時の車いす・クラッチ使用の社員の避難
・屋内階段に脱輪防止ストッパー付きのスロープを設置したが、車いす使用の社員が自力で避難することは難しかった。
・火災時に、車いす・クラッチ使用の社員は火元の状況に応じて、2階のバルコニーに一時避難することとしていたが、その後の救助に相当の時間を要することが想定された。
・災害備蓄品は事務室と別のフロアに配置しており、車いす・クラッチ使用の社員が備蓄品を取りに行くことは難しかった。
2 聴覚障害のある社員の避難
・自動火災報知設備と連動した光警報装置は設置されていたが、トイレなどには設置していなかった。また、緊急地震速報と連動していなかった。
3 災害時の対応の理解
・安否確認システムは導入済みだったが、平成30年6月の大阪府北部地震の際、安否状況を報告できない社員、適切な避難行動を取ることができない社員がいた。
・災害に関する基礎知識が不十分な社員がいた。

改善策

1 障がいのある社員を中心とした災害対策プロジェクトチームの立ち上げ

・障がいのある社員を中心とした災害対策プロジェクトチームを立ち上げた。実際の災害発生時・訓練実施時に判明した課題等を踏まえながら、さまざまな障害に配慮した、災害時の安心・安全向上に向けた取組を推進した。

2 災害時の車いす・クラッチ使用の社員の避難

・車いす使用の社員が自力で避難できるスロープを設置した。外周を取り巻く、緩やかな傾斜角度(バリアフリー法の基準よりも緩やかな1/20)とした。
・介助者の安全面を考慮し、併設のスロープの足元をフラット化した。
・屋上避難スペースを拡大するとともに、48時間対応可能な自家発電機、ヘリコプターによる救助可能なホバリングスペースを設置した。
・災害備蓄品を各事務室から近いところに分散させ配備した。

スロープ写真

外周を取り巻く傾斜の緩やかなスロープ

                    

3 聴覚障害のある社員の避難

・トイレなどを含めて全館に光警報装置を設置した。
・光警報装置を自動火災報知設備、緊急地震速報設備と連動させ、火災発生時には白、地震時には緑のライトを点滅させることで災害の種類に応じた避難行動を取れるようにした。

トイレの光警報装置(地震時は緑色のフラッシュ・ライトが点滅)

4 災害時の対応の理解

・従来からの防災訓練に加え、緊急地震速報の理解、身を守る行動、車いす使用の社員や聴覚障害のある社員への補助、安否確認システムの定着などを目的に「身を守る行動訓練」「安否確認訓練」を年2回実施。
・障害のある社員が主体となって活動する「危機管理委員会」が中心となり、災害の基礎知識、基本行動などを分かりやすくまとめた「災害対策マニュアル」「災対ブック」を作成・配付。

災対ブック

災害対策マニュアル

改善後の効果

・障害のある社員による主体的な取組を中心とした運営とすることで、社員の災害に関する意識の向上、身体機能の状況・特性等に対するきめ細かな配慮の実現につながっている。
・暴風警報発令時など、自宅待機が必要な場合の判断が的確にできるようになった。
・安否確認システムにより全社員が適切に安否報告をできるようになった。
・避難訓練を実施する際、ほぼ100%の社員が、ヘルメットの着用、机の下への避難、周囲の車いす使用の社員・聴覚障害のある社員の補助などの適切な行動をとることができるようになった。

社員の声

上田 純平さん

「従来の災害対策は火災による避難訓練がメインでしたが、東日本大震災の発災により、地震に対する備えが喫緊の課題となり改善を図ってきました。当社では身体障害のある社員に加え、近年は精神・発達障害のある社員が増加しており、様々な障害に対応する必要があります。大阪府北部地震では安否確認等、新たな課題が浮き彫りとなり、実践的な訓練への変更や分かりやすく判断に迷わない携帯型マニュアルへの改訂等を行いました。災害による被害をできるだけ少なくするため、社員一人ひとりが的確に対応できるよう、引き続き活動していきます。」