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知的障害のある労働者に対する安全教育の工夫、労働者の声を聞いた事故防止のための対策

株式会社ハチカン

安全衛生教育・知的障害

改善前の状況

工場内の業務では、スリップや機械等への衝突による転倒で怪我することもあり、障害のある社員も含めて、事故防止・再発防止について理解を徹底する必要があった。

改善策

1 社内の「安全教習所」で体験型の安全教育

社内に安全教習所を設置し、指差し確認の練習、適切な安全保護具の知識の教育、機械への巻き込まれや床での滑り等の体験を行えるようにしており、毎年1回全社員が受講することとなっている。
例えば、靴底が消耗すると滑りやすくなるので新しいものと交換が必要になるが、写真付きで交換時期を解説し、実際に体験して学べるようになっている。

安全教習所の内部

勾配のある坂で滑り度合いを体験

靴底の状況によって交換するなどの解説

2 安全教育の確認テストの実施

知的障害のある社員には、入社時の安全衛生教育の確認テスト等を書面で行うことが難しい場合もあることから、まる・ばつの2択方式による口頭での確認テストを行った。また、ばつの場合には、なぜダメであるのかの理由を回答させることで理解度を高めた。
【確認テストの例】
・指差呼称は一人の場合は行わなくてもよい。
・熱湯を使用する作業だが、一瞬であれば通常作業用の手袋だけ着用すればよい。

3 安全面の指導体制

知的障害のある社員1人には、世話役(障害者職業生活相談員)を1名配置し、安全面、衛生面、作業面の指導をマンツーマンで行うこととした。
入社前の現場実習では、世話役だけでなく担当部署の社員に対して、特別支援学級の先生から、障害特性や個々に適した業務上の対応方法を説明してもらうこととした。

4 事故予防や再発防止対策への全員参加

安全パトロールの参加メンバーは各部署からの任命制で、障害の有無に関わらず全社員が参加できる体制を取った。障害のある社員から、例えば標識が遠くから見えないので、掲示する位置を高くしたほうがいいなどの指摘があった。
事故やヒヤリハットが発生した箇所、業務内容を基に社内ハザードマップを作成し、全社員の目に付くところに掲示した。
事故が発生した場合は、その検証や改善策の検討に本人も参加し、本人の障害特性を考慮した再発防止策を作成することした。

ハザードマップ

過去に事故やヒヤリハットがあった箇所を部署ごとに示している。

改善後の効果

障害のある社員に関して、一度起きた事故と同様の事故の発生はなく、再発防止を図れている。
障害のある社員を含め、全社員について、どのような状況が事故に繋がりやすいかの理解度が高まり、事故予防・再発防止に繋がっている。