3S活動(整理、整頓、清掃)の成果を踏まえた安心して働ける職場作り

株式会社エムツープレスト

メンタルヘルスケア・発達障害

改善前の状況

製造業の現場において、「安全で、快適で、効率的な職場を造る」ことを目的に、以前から3S活動(整理、整頓、清掃)を推進しているが、これらの活動の成果を2016年から雇用している発達障害のある社員にも効果的に普及し、安心して働ける職場作りを行うことが必要であった。

改善策

〇3S活動の推進
 3S活動を推進している他社の事例収集を行いながら、自社に合った3S活動を推進した。
 具体的には、社員を4つのグループに分け、月1回3S活動(整理、整頓、清掃)を行った結果を月1回の全体会議で発表し合っており、また、月1回の3S活動に関する他社との定例会の中で自社の取組の発表や意見交換会を行い、その結果を自社の全体会議で報告するようにしている。
 なお、現在障害のある社員は3S活動のメンバーには入っていないが、障害のある社員の気づきや要望を随時反映させながら改善等に取り組んでいる。

〇障害のある社員が安心して働ける職場作り
 整頓において重要な5頓(定位置、定量、定方向、表示、標識)は、障害のある社員にとって働きやすい職場作りにもつながるため、3S活動では、道具の定位置を決め、道具と置き場所の両方に名前を付けることなどについて取り組んだ。また、指示するときも「そこに片づけておいて」の「そこ」を具体的な名称で伝えるように徹底することや、苦手な仕事は無理に任せず得意なことを仕事に活かせるようにしたこと、問題行動が起きたときは原因を追究しながら対応策を一緒に考えることについても取り組むようにした。

〇3S活動の取組例
<道具置き場の物品を写真・イラストで表記>
 以前はテプラで物品の名前を表示しているだけだったが、絵・写真を掲載し、一目見ただけで分かるように工夫した。

道具置き場の物品を写真やイラストで表記(左:改善前、右:改善後)

<荷物の置き場所を区分けしアルファベット(A,B,C)で表記>
 以前は荷物の置き場所を「あそこ」「そこ」と曖昧な言葉で表現することがあったが、「あそこってどこですか?」と聞き返されることが多かったため、荷物の置き場所をアルファベットで区分けし「Aに置いてきて」と明確に指示できるようにした。

荷物置き場の位置関係をアルファベットで示した構内図を職場に掲示

<姿絵により物品の定位置を表示>
 以前は共用物品の定位置が決まっていなかったが、物の置き場所を姿絵で表示したことで、迷わずに物が置けるようになり、欠品も見つけやすくなった。

物品の定位置を表示(左:姿絵、右:姿絵をもとに物品を置いた様子)

<発注カードで物品を管理>
 物品の発注状態を一目で分かりやすいように整備した。

発注カードの使い方の写真

改善後の効果

 3S活動の成果を踏まえながら職場改善を図ることで、障害のある社員にとっては仕事の進め方が分かりやすくなっている。その効果として、障害のある社員にとって安心して働ける環境を整備することができ、普段の業務において質問や確認の時間が減り、仕事の効率化・生産性の向上につながっている。

社員の声

 障害のある社員からは、「表示・標識のおかげで物を置くときにすぐ分かるから助かる。どんどん分かりやすくもなってきた。」「姿絵・写真管理表示になりどこに片付けるか、どこにあるかすぐに分かるようになった。」「備品・ダンボールなどに発注点があることによって、いつ発注をかければ良いか分かる。」などの声が聞かれています。

企業の声

 当社の経営理念の中に「人を尊重する企業」という一節があります。ダイバーシティやインクルージョンを推進する動きが増えていますが、我々中小企業こそが存続するために積極的に取り組むべき課題だと考えております。その一つが当社にとっては「障害者雇用」でした。
 障害者雇用を行う前から取り組んでいた3S活動(整理・整頓・清掃)でしたが、障害者とともに働くようになってから、その重要性が増しています。
 誰にとっても「安全で、快適で、効率的な職場」にすることに終わりはありません。掲載させて頂いた改善事例も、すべて社員自ら手作りで行っています。一度改善した箇所に新たな改善を加えたものも少なくありません。それは、その時にベストと思われた改善が、時がたち、自らの視座が上がったことにより、よりよいアイデア(気づき)が浮かんだ証拠です。これは障害者雇用が生んだ成果かもしれません。
 障害者自身は特性により、一人ひとりは出来ることと出来ないことがあるかもしれません。しかし、どうすれば彼らを貴重な戦力として活躍してもらうかを社内全体で考える企業風土こそが、我々にとっての「人を尊重する企業」だと信じて、これからも取り組んでまいります。

代表取締役 増本 晃明さん