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左手の機能の低下が見られる労働者が安心・安全に作業を行うために自動機を改良した取組

オムロン太陽株式会社

労働災害防止・肢体不自由

改善前の状況

・両下肢障害のあるAさん(50代)は、電子部品の製造現場で自動機を使用して組立作業に従事しており、両手を使って操作する自動機を使用することで問題なく作業を行ってきたが、以前と比較して完成品の数が少なくなってきたことに周囲の社員が気づいた。
・職場の管理者がAさんにヒアリングを行ったところ、元々脳性まひにより左半身の機能制限があったが、加齢により左手の筋力が低下し、自動機のボタンを両手で押す工程で左手を使ってボタンを押すことが難しく、作業スピードが低下していることが判明した。
・Aさんは、「長年従事してきた組立作業の担当者を変更されるのではないか」という不安を感じており、早急に業務の見直しを検討する必要があった。

改善策

・Aさんの左手の機能低下を補うため、これまで両手で操作する必要のあった自動機を改良し、左手は一切使わず右手指を添えるだけでスイッチが入り組立ができるようにした。
・作業時の安全確保のため、簡単にスイッチが入るものの、2本の指(右手の人差し指と中指)を必ず添えなければスイッチが機能しない仕組みとした。
・なお、障害のない社員が同じ自動機を操作する際は、安全のため管理者に報告してスイッチを押してモードを切り替えることで、従来通り両手で動かせるようにした。

自動機を改良する前の組立作業                自動機を改良した後の組立作業

改善後の効果

・右手のみを使ってあまり力を使わず自動機を扱えるようになり、Aさんの負担が大幅に解消されたことに加え、今後も組立作業に長く従事できる可能性が高まった。このことから、Aさんの就労継続に対する不安を取り除くことができた。
・障害のない社員もモードを切り替えることでこれまで通り両手で自動機を操作できるため、生産性を確保することができた。
・右手の2本の指を置かなければスイッチが機能しない仕組みは大変安全であり、今後の改善にも大いに流用できるアイディアとなった。