個別相談、自己紹介カードの作成、本人にあった職場環境の改善など、安心して働くための配慮を実施

株式会社旭化成アビリティ 延岡営業所

メンタルヘルス対策・すべての障害

改善前の状況

 障がいのある社員には、それぞれ不安感や負担感、疲労感など様々な課題があり、それを一人で抱え込むことで長期の休みになってしまうなどの問題につながる人もいるため、安心して働けるような支援体制を整備していく必要があった。

改善策

 障がいのある社員が安心して働けるように、社内の活き活き推進部(社員一人ひとりの成長、職場定着を促すための組織)の主にお世話係(定着支援員)では、以下のような活動を行った。

〇個別相談
 基本的には、入社後3か月間は定期面談を行い、業務以外の困りごとや疑問などについて相談を受けている。
 なお、3か月経過後であっても、社員に不安などがある場合は、本人の同意も得ながら継続相談又は適宜相談を行っており、社員それぞれの課題などに対応できるようにしている。

〇自己紹介シート
 社員自身の特徴や特性(どのような障がいか、できること、苦手なことなど)や仕事をする中で周りに配慮してほしいこと、自分で努力していることなどについて、社員が自己理解し、周囲の社員にも自身のことを理解してもらうために「自己紹介シート」を作成している。
 内容については社員それぞれの状態に応じて、お世話係も助言をしながら作成し社内(所属課やグループ内)で共有している。なお、これらのことについては、本人の同意を得ること及び個人情報の適切な管理(コピー厳禁など)を行っている。
 一緒に業務を行うメンバーで共有することで、相互理解が深まり、コミュニケーションの一助になっている。また、毎年更新することで、自身の目標の変化や成長を感じられるツールにもなっている。


<自己紹介シート>

社員の同意を得て、社員が自己紹介シートに記入します。

 

<自己紹介シートの見直し>

自身の振り返りと目標の設定のために、自己紹介シートは毎年見直しています。

 

〇職場環境の改善
 障がいのある社員が安心して働けるように、お世話係が業務の担当者(インストラクター)などと連携しながら、職場環境の改善も行っている。

事例 発達障がいのあるKさん

・状況の確認
Kさんは、PC入力業務を主とする業務に従事していたが、職場の環境がKさんの心身に多大な影響を与えていた。そのため、仕事の効率が落ち、常に疲れと不安な様子が感じられる状態にあり、また、自身の障がいについて周囲の方に理解してもらえないのではと、気持ちが落ち込み不安定になることもあった。Kさんは、仕事はしっかりしたいという気持ちで毎日休まずに出社するが、カラダは相反しており、とてもきつかったとのことであった。
・原因や背景の確認
お世話係と面談したところ、Kさんには感覚過敏の特性もあるため、人の往来や蛍光灯の光、人の話し声や電話、業務上発生する音など、常に外界からの多種多様な刺激にさらされ、集中できる状態にないことがわかった。
・改善への対応
Kさんの意見を聞きながら、お世話係、現場の上司や業務の担当者で検討し、上司の了解を得た上で以下のような環境の整備を行った。
 周囲の刺激が少なそうな場所に席替えする
刺激を少しでも緩和させるため、折り畳み式の囲いを設置する
ノイズキャンセリング(周囲の音を遮断するヘッドホン・イヤホン)を使用する
Kさんの特徴を周囲の人に理解してもらうためのシートを囲いに貼る

Kさんの仕事の環境の写真

仕事の環境

特徴を周囲の人に理解してもらうためのシート

特徴を周囲の人に理解してもらうためのシート

改善後の効果

 お世話係を中心とした活き活き推進部の活動により、メンタルヘルスなどの健康面について、障害のある社員を支援・フォローできる体制が整い、働く社員にとっても、サポートし、コミュニケーションを取ってくれる担当者がいることは、社員の安心感にもつながっている。
 職場環境の改善を実施したKさんについては、改善の結果、業務に集中できるようになり、作業効率が3倍に向上した。また、併せて本人の特徴を周囲に伝えることで、周囲の社員たちがさらなる改善案を出してくれるようになるなど、本人にとっても、周囲が自分のことを理解し、コミュニケーションを取ってくれているという場面が増えたと感じられるようになった。現在では、服薬もなく、定期的な受診とカウンセリングを行うことでコントロールができている。
最近は聴覚過敏がある方の入社が増加しているが、それぞれKさんと同様に上司と相談し、上司の許可を得た上でノイズキャンセリングなどを使用し、また、自身の特徴を周囲に伝えることで周囲の理解も得ることができており、仕事をする上での負担感を軽減することができたという効果があらわれている。さらには、お世話係の面談があることで、突然の休みが減少し、社員の安定した出勤にもつながっている。