障害のある労働者に対する定期面談によるメンタルヘルスケア対策

百五管理サービス株式会社

メンタルヘルスケア・精神障害

改善前の状況

・不安障害のある社員Aさんを採用したが、服薬による眠気や頭痛などで体調の変化が激しく勤怠に影響が生じていた。また、「きちんと仕事ができていないのではないか」といった職場や仕事への不安が強く、事業所として指導方法に悩んでいた。

改善策

1 ナビゲーションブックの作成

自身の得意・不得意や通院状況、服薬状況等を記入し周囲に伝えるためのツール「ナビゲーションブック」を事業所独自の項目で作成した。Aさんに記入してもらい、指導担当者が通院状況や薬の効果、副作用等を把握した。また、Aさんも自身の特徴や健康状態を把握し、体調の自己管理の必要性を認識してもらった。

2 Aさん専用の作業日誌の導入

・毎朝、体調や服薬状況、検温結果等をAさん専用の作業日誌に記入してもらい、その日の調子に合った業務内容と業務量を本人と指導担当者が相談して決めることとした。
・毎日記入する日誌に何を書いていいのか悩むことがよくあるため、日誌の様式は各項目に〇をつける形式とし、記入するスペースもあまり広すぎないようにシンプルなものにするなど負担のないようにした。
・仕事の成果は毎日記録し、1週間後にフィードバック面談を行い、達成感や安心感を得られるようにした。

3 定期面談の実施

・障害のある社員を対象に役員が3か月ごとに実施する「定期カウンセリング」において、Aさんの仕事や職場環境、体調の変化、職場に関する満足度などに関するヒアリングを行った。
・定期面談以外でも、企業在籍型ジョブコーチが月1回程度で業務の進捗に関する面談を行い、Aさんの様子を把握した。
・これらの面談時には、「ナビゲーションブック」「作業日誌」などを適宜確認するほか、家族や就労支援機関からの情報収集も行い、社内で改善策を検討し対応した。


Aさんのナビゲーションブック

Aさん専用の作業日誌

【Aさんへの対応例】
①把握した状況
・帳票印刷を担当。一度に与えられる業務量が多いと対応しきれるか不安を感じやすかった。
・自身の担当分が終了していても、未処理の帳票が残っていると「会社に貢献できていない」と感じて自らを責めてしまうことがあった。
②職場での対応
・指導担当者が集まるミーティングで、上記の状況を共有した。
・当日処理する帳票のみをカゴに入れてAさんに作業の指示をするようにした。当日処理をしない帳票は別のカゴに入れてキャビネットに保管した。
③結果
・Aさんはプレッシャーを感じることなく、落ち着いて業務に取り組むことができるようになった。
・毎日の業務量を達成できていることが視覚的に分かりやすく、Aさんが安心感や業務への自信を持てるようになった。

改善後の効果

・ナビゲーションブックの活用や定期面談を通して、Aさんの通院状況や服薬状況、仕事や職場に関する悩みや要望をしっかり聞き取ることができ、事業所として具体的な方策を実施することができた。
・作業日誌に関するAさんとのフィードバック面談で、自身の業務内容や業務量が可視化され、会社に貢献できているとの認識を持てるようになった。また、毎朝体調を確認することで、無理のない業務計画を立てやすくなった。
・Aさんへの取組を通して、他の障害のある社員についても改めて職場で必要な配慮や障害特性の理解に向けて話し合う機会が増え、1人ひとりが働きやすい職場環境づくりへの意識が全社的に高まった。なお、障害のある社員の対応で分からないことは、職場の管理者やジョブコーチが勉強会を行い、指導方法や助言内容の統一化を図ることで、支援体制の強化に取り組んでいる。


社員の声

Aさん(勤続3年) 

「不安なことや気になることがあっても、なかなか相談できず抱え込んでしまうことが多かったですが、職場で定期的に面談してもらえることで不安を解消できています。今後も、体調を安定させて働き、できる仕事を増やしていきたいです。」


企業の声

仙崎 八重子さん(企業在籍型ジョブコーチ)
仙崎 八重子さん(企業在籍型ジョブコーチ)

「Aさんは頑張り屋で責任感も強いことから、抱え込んで悩むことも多かったですが、面談や作業日誌などで状況をお互いに共有して助言することで、不安が和らいできたと思います。最近は体調面も少しずつ落ち着き、仕事にも慣れてきたので、得意なパソコンでのマニュアル作成や指導、効率化の提案など積極的にしてくれます。今後も不安や心配なことは早めにフォローしていきたいと思います。」