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7.資料編 (1)障害者雇用率制度

障害者の雇用の促進等に関する法律では、「障害者雇用率制度」を定めており、事業主に対して常時雇用している労働者に障害者雇用率を乗じて得た数以上の障害者を雇用することを義務づけています。
事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。
また、障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。

法定雇用率

令和5年度以降の民間企業における障害者の法定雇用率は、2.7%です(ただし、令和5年度中は2.3%に据え置き、令和6年4月から2.5%、令和8年7月から2.7%と段階的に引き上げることとしています)。
対象となる民間企業の範囲は、常用雇用労働者数37.5人(令和5年度中は43.5人、令和6年度から40.0人、令和8年7月から37.5人)以上の事業主となります。
例えば、常時雇用している労働者120人の企業は、120人×2.7%=3.24人≒3人(小数点以下は切り捨て)となり、障害者雇用率制度においては、3人以上の障害者雇用義務があることになります。

企業において雇用率を算出する際の障害者の算定方法

障害者雇用率制度において、雇用障害者の数を算定する際は、以下の表のとおりとなります。
一方で、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者の数を算定する際は、障害の種類や程度に関係なく、短時間以外の常用雇用労働者を1人、短時間労働者を0.5人として算定します。

・身体障害者(重度以外)週の所定労働時間30時間以上 1人を1人として算定 週の所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働) 1人を0.5人として算定・身体障害者(重度)週の所定労働時間30時間以上 1人を2人として算定 週の所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働) 1人を1人として算定・知的障害者(重度以外)週の所定労働時間30時間以上 1人を1人として算定 週の所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働) 1人を0.5人として算定・知的障害者(重度)週の所定労働時間30時間以上 1人を2人として算定 週の所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働)1人を1人として算定・精神障害者 週の所定労働時間30時間以上 1人を1人として算定 週の所定労働時間20時間以上30時間未満(短時間労働) 1人を0.5人として算定(※)

(注1)精神障害者である短時間労働者については、令和5年4月1日からの精神障害者の算定特例の延長に伴い、当面の間、雇入れからの期間等に関係なく、1人をもって1人とみなすこととしています。
(注2)令和6年度から、重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者である特定短時間労働者(週の所定労働時間が10時間以上20時間未満である者)について、1人を0.5人として算定。

<障害者雇用率の算定例>

(例)A企業 常時雇用している労働者250人(障害者7名雇用(身体3人、知的2人、精神2人)の場合、雇用労働者の勤務時間や雇用障害者の障害種別等をふまえて算定すると以下のようになります。

短時間以外の常用雇用労働者 200人
短時間労働者 40人
  特定短時間労働者 10人
知的障害者(重度・短時間以外) 1人
身体障害者(重度以外・短時間以外) 1人
身体障害者(重度・短時間) 1人
知的障害者(重度以外・短時間) 1人
精神障害者(短時間) 1人
身体障害者(重度・特定短時間) 1人
精神障害者(特定短時間) 1人

①200人②40人×0.5③2人④1人⑤1人⑥0.5人⑦1人⑧0.5人⑨0.5人

A企業の障害者雇用率は、2.95%となります。

除外率制度

 機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度を設けています。
 この除外率制度は廃止となっていますが、当面の間、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされています。

障害者の雇入れに関する計画

障害者雇用の数が法定雇用障害者数を大きく下回っている企業に対して、ハローワークの所長は障害者の雇入れ計画に関する計画作成命令ができることになっています。
雇入れ計画の実施を怠っているなどの場合は、適正実施勧告がなされ、それでも従わない場合は、厚生労働大臣がその旨を公表する場合があります。
企業名が公表されると企業のイメージダウンや社会的評価の低下につながり、企業経営に影響がでる場合もあります。