特集(メールマガジン第108号)
【障】地域障害者職業センターの「職場復帰支援(リワーク支援)」をご利用ください!
2013年から、日本における四大疾病に精神疾患が加わり、現在は五大疾病とされています(「がん」、脳卒中などの「脳血管疾患」、心筋梗塞・狭心症などの「虚血性心疾患」、「糖尿病」、「精神疾患」の5つ)。精神疾患は私たちのより身近な病としてより認識されるようになってきました。
厚生労働省の労働安全衛生調査(2020年・実態調査)によると、過去1年間(※)にメンタルヘルス不調を理由に連続1ヵ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた企業の割合は、平均で9.2%であり、また、特に労働者数1,000人未満規模の企業では増加傾向にあります。(※2019年11月1日~2020年10月31日)
メンタルヘルスに課題を抱える従業員への対応は、企業における重要な経営課題と考えられています。
今回の特集では、全国の地域障害者職業センターで実施している、メンタル不調による休職者が職場に復帰するための専門的な援助(リワーク支援)の概要、実際の支援例についてご紹介をします。
リワーク支援とは
リワークとは、「復職(Return to Work)」を意味しています。
地域障害者職業センターに一定期間通所していただき、体調などを確認しながら、業務遂行力の回復や、ストレスへの対処などを図るための支援を行い、職場復帰のためのウォーミングアップを実施します。
(通所いただくことがむずかしい場合には、オンラインでの支援を実施できる場合もあります)
企業のご担当者様に対しては、職場復帰に向けた計画についての助言や、職場復帰時の職務の内容や職場環境改善などについてのご提案を行います。
リワーク支援の具体的な内容
○生活リズムの構築
自宅療養が続いて生活のリズムが不規則、体力低下も心配
→スケジュールに沿って、センターに通所し、規則正しい生活リズムを目ざします
○ストレスへの対処方法
仕事の悩みを上手く相談できず負担になる
→上手な相談の仕方などを練習します
職場で緊張してしまう
→緊張を軽減するストレッチ法、呼吸法などを紹介します
○リハビリ出勤
いきなり職場復帰して、きちんと仕事ができるか不安
→復帰予定の職場での作業体験や上司、同僚との交流を通じて、不安の軽減を図り、無理なく職場復帰を進めていきます
○会社との調整
復帰時の勤務条件などが心配
→総務・人事担当者などに、職場復帰に求められる条件を確認し、復帰計画などについて事業主に助言します
以前のように仕事ができるのか不安
→職場復帰時の仕事の内容や職場環境の改善方法などを事業主に提案します
⇒『職場復帰/フォローアップ』
2005年(平成17年)10月のサービス開始以来、これまで3万人を超える方にご利用いただきました。
また、2021年度(令和3年度)に支援を終了された方の職場復帰率は、87.7%と、多くの方の職場復帰を実現しています。
リワーク支援のプログラム内容
病気の再発予防、コミュニケーション力や業務遂行力のリハビリを目的として、個別の支援計画に基づくプログラムにより実施しています。
【プログラム例】
〇業務スキル→『ジョブリハーサル』(以下で詳しくご説明します)
〇グループミーティング
→『グループミーティング』参加者間で、物事の捉え方や対応の仕方、復職への不安感について意見交換を行います。
〇キャリアの再構築
→『キャリアガイダンス』仕事と生活のバランスや大切にしたい価値観をみなおし、再発を防ぐ働き方を探ります。
〇ストレス対処スキル
→『ストレスマネジメント』柔軟な考え方により、ストレスや不安への上手な付き合い方、ストレス軽減方法を探ります。
〇コミュニケーションスキル
→『アサーション』対人関係を円滑に保つ表現を学び、職場内でのコミュニケーションの取り方のコツを習得します。
ジョブリハーサルとは
休職者の職場復帰に取り組む企業がリワーク支援に求める期待としては、本人の業務遂行力の回復があげられています。
地域障害者職業センターでは、職業リハビリテーション機関ならではの強みとして、コミュニケーション力・作業管理・調整能力の向上・リハビリテーションを目的としたプログラム(ジョブリハーサル)を実施しています。
ジョブリハーサルは、休職者が職場に戻って勤務することを想定し、実際の職場に近い模擬的な職場環境のなかで、リーダーやメンバーといった役割によるチームで協力し合いながら、負荷のある作業課題に取り組んでいただきます。
このプログラムでは、習得したスキルを実践するなかでその実用性をいっそう高め、スムーズな職場復帰とその後の適応をうながす効果が期待されます。
<ジョブリハーサルの特徴>
・チーム内での計画立案・業務調整の実践によるコミュニケーションスキルの向上
・各々に合わせた役割や負荷の調整
・自身のコミュニケーションやストレス対処等の特徴についての気づきやスキルの実践
~受講者の声~
Aさん(専門職[SE])
「前職では仕事に没頭して疲労を溜めていた。タイマーを活用して定期的に休憩を取りながらタスクに取り組むと、次の日に疲労が残らなかった。休憩の大切さを実感できた。」
Bさん(事務職)
「前職では仕事を他者に依頼することが苦手だった。アサーションスキル(コミュニケーションに関するスキル)をもとに、ほかのメンバーに作業分担をお願いできたことが自信につながった。」
Cさん(管理職)
「前職では仕事を抱え込み孤独感があった。チームリーダー役のときに一人で仕事を抱え込み、自分の仕事の癖にあらためて気づいた。」
リワーク支援で行ったサポート例
テレワークで職場復帰を予定している休職者へのサポート
■テレワークでの職場復帰を想定し、在宅でのプログラムを実施
■「オンライン会議での上司との円滑なコミュニケーション」をテーマにSST(コミュニケーションプログラム)を実施
■在宅勤務時の集中力の維持、勤務と生活リズムの維持・管理、体調管理を行うためのセルフマネジメント、セルフケアの方法について検討し、実践
休職者の職場復帰を進める企業へのサポート
■職場訪問等により定期的に本人、企業のフォローアップを実施
■職場復帰にあたり、復帰先の職場に受入れ研修を実施
■企業の総務・人事ご担当者様にリワーク支援のプログラムの一部を体験していただき、ご本人のサポートに役立つメンタルヘルスにかかる知識を伝達
企業のみなさまへ
今回ご紹介しましたリワーク支援を含め、障害者雇用全般に関することでお困りになることがございましたら、お気軽にご連絡ください。都道府県をまたいだ広域での障害者雇用の取組みについても支援を行っておりますので、まずは最寄りの地域障害者職業センターにご連絡ください。
【全国の地域障害者職業センターの所在地・連絡先は下記URLよりご覧ください】
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/index.html