送迎バスの導入と公共交通機関の利用に関する社内研修を通じた通勤時の安全対策

百五管理サービス株式会社

労働災害防止・すべての障害

改善前の状況

・平成28年2月に特例子会社の認定を受け障害者雇用を進めたことで、障害のある社員が増えていった。
 事業所は最寄り駅から事業所までは徒歩30分、最寄りのバス停から徒歩10分と、交通アクセスが不便な場所にあり、荒天時や夜間の通勤等においては交通事故や防犯上のリスクがより高い状況にあった。 
・障害者の採用にあたって、特別支援学校や地域の就労支援機関からの実習を受け入れていたが、支援者から「実習に行かせたい方がいるが通勤できるか不安」などの声が寄せられ、受入れ可能な対象者が限られていた。

改善策

1 送迎バスの導入

【導入までの流れ】
・障害のある社員や支援者、家族の通勤時の不安を取り除くため、マイクロバスによる送迎を行うことを検討した。
・事業所で送迎バスの購入や運行に関してノウハウが不足していたことから、近隣で送迎バスを運行している事業所を探し、見学を行った。見学先では、公共交通機関で通勤する社員向けに最寄り駅から工場までバスによる送迎を実施しており、バスは自社で購入し運転手はバス会社に委託しているとの情報提供があった。
・事例を参考に親会社と協議し、送迎バスの導入について承認を得た。
・平成29年4月より、朝(往路)2便、夕方(帰路)1便で運行を開始した。利用者は障害のある社員を含めた公共交通機関による通勤者全員で、実習生も利用可能とした。また、事前に申し出のあった通院等による早退者の利用にも対応することとした。
・現在は朝3便、夕方2便とし、最寄り駅の電車の到着時刻に合わせて運行している。

【新型コロナウイルス感染症拡大を受けた対応】
・令和2年4月の緊急事態宣言発令を受けて、公共交通機関利用者は原則在宅勤務とした。しかし、長期の在宅勤務に不安を感じる社員がいたことから、市内の一部の障害のある社員については、バス会社と相談して運行ルートを大幅に変更し、各社員の最寄りのバス停まで送迎するルートを作成して運行した。

送迎バスへの乗車場面

送迎バスへの乗車場面

【参考】送迎バスの導入にあたって、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の「重度障害者等通勤対策助成金」の対象となる場合があります。

「重度障害者等通勤対策助成金」
 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を雇い入れるか継続して雇用している事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主が加入している事業主団体が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。
 詳細は以下のリンクをご参照ください。

2 公共交通機関の利用ルール等に関する社内研修の実施

・月1回、30分程度で実施する「コンプライアンス勉強会」や「安全衛生委員会」で、「安全運転」や「公共交通機関の利用ルール」に関する社内研修を実施した。
・平易な言葉遣いや文章にルビを振るなどして、知的障害のある社員にも理解しやすいように配慮した。

コンプライアンス勉強会の様子

コンプライアンス勉強会の様子

改善後の効果

・送迎バスの導入及び社内研修の実施後、通勤途上の交通事故やトラブルは0件となった。
・送迎バスを利用することで、荒天時や暑い時期等の通勤で生じる身体的な負担が軽減し、日中の業務に集中して取り組めるようになり生産性が向上した。
・会社全体として障害のある社員の安全確保に取り組む姿勢を対外的にもアピールすることができた。特別支援学校や就労移行支援事業所などからは「職場実習にチャレンジできる対象者が増えた」と好評を得ており、県内各地から多様な人材が毎年多数、実習に参加するようになった。
・職場実習の件数が増えたことで、多様な障害者の中から自社の雰囲気や業務に合った人材を確保でき、ミスマッチの少ない採用につながっている。

職場実習の実施回数の推移

社員の声

川口 慎太さん(業務推進部)
川口 慎太さん(業務推進部)

「入社当時は、最寄り駅から路線バスに乗り換え、さらにバス停から10分以上歩いて通勤していました。雨風が強い日は歩くのも大変で、夜間は車にも相当注意しましたが、送迎バスを導入してもらってからは、駅と会社間が直結となったので、これらの心配も無くなり、大変助かっています。また、送迎バスの運行時間を鉄道の発着時間に合わせてもらっているので、乗り継ぎ時間もスムーズになり、通勤が快適になりました。」