1.障害者雇用の基礎理解 (5)経営者の理解・経営者が行うこと

Q 経営者として障害者雇用をどのように考え、どのようなことを行えばよいでしょうか?

A 障害者雇用は企業経営の中で積極的に取り組むべき重要な要素となっています。また、障害者雇用を進めるためには経営者の姿勢が重要です。

労働行政における障害者雇用推進への取組が一層強化され、障害者福祉分野においても障害者総合支援法などにより障害者の企業就職への機運が高まるなど、障害者雇用を取り巻く環境は大きく変化しています。
企業は社会の構成員として経済活動をしています。このことから、企業が社会に役立つ活動を行うことは当たり前のこととされてきました。障害者雇用についてもCSR(社会的責任)の一環として取り組む企業も多かったのですが、これに加えて最近では、企業戦略であるダイバーシティ(従業員の多様性の尊重)の推進の一環として障害者雇用への関心が高まっています。また、環境・社会・企業統治にバランスよく配慮している企業の成長性が高い傾向にあることから、これらの企業への投資(ESG投資)が増えており、この面でも障害者雇用が注目されています。
また、地方自治体が発注する工事、委託業務などの入札において、従来の価格のみの落札ではなく、価格以外の要素(技術力、社会貢献度、障害者雇用の状況など)を加味し、総合的に評価し落札企業を決定する方式(総合評価入札制度)を導入したり、地方自治体の物品調達において障害者雇用推進事業者(定められた基準以上の障害者を雇用している事業主)を優先的に指名するなど、障害者雇用の推進状況が直接、仕事の受注に影響することもあり、このことなどから障害者雇用は企業経営においても積極的に取り組むべき重要な要素の一つとなっています。

行政側の動向・障害者雇用率の設定・障害者雇用率達成指導の強化・納付金対象事業主の拡大・除外率の縮小・活用できる支援制度の充実(障害者トライアル雇用、ジョブコーチ支援など)・行政の物品調達における障害者雇用事業主の優遇 障害者側の動向・働く障害者の増加・就職希望者の増加 企業側の動向・CSR(企業の社会的責任)の重視・ダイバーシティ(社員の多様性の尊重)の推進

障害者雇用を進めるには経営者の姿勢が重要です

企業経営者自らが、社員に対して企業の経営方針として障害者雇用を推進することを明らかにすることで、社員の理解が進みます。
また、障害者雇用を進めていくためには、受入部署任せにせず、経営者、人事担当者、受入部署の社員が共通認識を持って、コミュニケーションをとりながらお互いの役割を果たしていくことが必要です。

・社内の不安 障害者は社員と同じように仕事ができるの?結局私たちが助けないといけなくなるのでは?企業は競争社会。厳しい環境で働くのはかわいそう。福祉が生活を支える方が障害者にとってもよいのでは?なぜ障害者を雇用しなければならないんだろう。 企業のトップが前向きなメッセージを伝える・経営者の姿勢 受入部署任せにせず、経営者、採用担当もサポートします。支援機関も相談にのってくれます。最近では多くの企業が障害者を雇用し、十分戦力になっています。福祉が支える時代から、障害者も職業的に自立する時代になっています。働く意欲を持った障害者も増えています。障害者雇用は法律で企業に義務付けられています。女性登用、高齢者雇用と同様に障害者雇用は企業の評価指標の一つです。・社内の変化障害者雇用を進める理由が理解できた。今まで持っていた障害者のイメージとは少し違うようだ。周囲から協力が得られば安心。障害者雇用は企業が取り組まなければならないことだ。障害者を受け入れてみよう

社内会議において障害者雇用の必要性、企業の障害者雇用の現状などを具体的に示していくことも必要です。
なお、採用計画が決まっている場合は、併せて提示します。

障害者雇用の機運を高めていくためには、次のような方法があります

社内研修の開催

社員向けの障害者雇用に関する研修会を開催し、周知を図っていきます。企画や講師派遣について、外部の支援機関などから助言や協力を得るとよいでしょう。

社内研修会の実施例

1.講義(30分)
テーマ「障害者雇用の実際」
・なぜ障害者を雇用するのか
・障害特性と配慮事項
・障害者雇用の実際
講師:〇〇障害者職業センター
〇〇障害者職業カウンセラー

社内研修の風景画像

社内研修の風景

2.DVD視聴(30分)
タイトル「はじめてみませんか?障害者雇用」
聴覚障害者が飲食店で働いている事例
知的障害者が病院で働いている事例
知的障害者がIT企業で働いている事例
精神障害者が工場で働いている事例
視覚障害者が工場で働いている事例など

障害者雇用に関する動画(DVD)・事例集・マニュアル等の社員への周知

社内報への記事の掲載

職場実習などの活用

特別支援学校や就労移行支援事業所などから職場実習を受け入れることで、障害者が働く姿を知る機会となります。障害者雇用のために職場実習を行うことは必須ではありませんが、「障害者を知る」、「社員の不安感を軽減する」ために有効です。

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