2.採用計画の検討・採用の準備 (2)障害者であることの確認の方法
Q 障害を有していると思われる社員がいます。本人に障害者手帳などの有無を確認してもよいですか?
A 労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかけることが原則です。社内の風評などを根拠に特定の人に呼びかけることは適切ではありません。
職場における障害者であることの把握・確認については、「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が策定されており(平成17年11月4日付け厚生労働省職業安定局長通知)、障害者本人の意に反した雇用率制度の適用などが行われないようにするため、採用後に障害の有無の把握・確認を行う場合には、雇用する労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかけることを原則とするものとされています。
職場における障害者であることの把握・確認
確認の方法(呼びかけの方法)
○(まる)適切な呼びかけ方法
- 労働者全員が社内LANを使用できる環境を整備し、社内LANの掲示板に記載する、または労働者全員に対し一斉にメールを配信する。
- 労働者全員に対して、文書、社内報などを配布する。
- 労働者全員に対する回覧板に記載する。

×(ばつ)不適切な呼びかけ方法
- 労働者全員が社内LANを使用できる環境にない場合において、社内LAN使用者のみに対してメールを配信する。
- 障害者と思われる労働者がいる部署に対してのみ文書を配布する。

申告を呼びかける際には、「障害者雇用状況等の報告などのために用いるという利用目的」「業務命令として、この呼びかけに対する回答を求めているものではないこと」をはっきり伝えることが必要です。ただし、障害のある社員が、職場において障害者の雇用を支援するための公的制度や社内制度の活用を求めて、企業に対し自発的に情報を提供した場合は、個人を特定して障害者手帳などの所持を照会することができます。
○(まる)個人を特定して照会ができるケース
- 障害者に係る公的な支援制度を利用したい旨の申出があったとき
- 障害者に係る企業が行う支援制度を利用したい旨の申出があったとき
×(ばつ)個人を特定して照会ができないケース
- 健康などについて、部下が上司に対して個人的に相談した内容を根拠とする場合
- 上司や職場の同僚の受けた印象や職場における風評を根拠とする場合
- 企業内診療所における診療の結果を根拠とする場合
- 健康診断の結果を根拠とする場合
- 健康保険組合のレセプトを根拠とする場合
障害者であることの把握・確認を行う場合、個人情報の取り扱いに注意します。
・利用目的を明示します(障害者雇用状況報告のため、障害者雇用納付金申請のためなど)。
・本人の同意を得た上で把握・確認します。
・採用後に把握・確認を行う時は、個人を特定せず、雇用している全労働者に対して、メール、社内報などを利用して呼びかけてください。
・把握・確認された情報は個人情報です。適切な保管・管理が必要です。
・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の申請は、本人の意思に基づき行われるべきであり、第三者が強要してはいけません。
障害者手帳等の所持者からの申告を社内に呼びかける際の社内連絡文(例)

障害者手帳等の所持者による保有情報の利用に関する同意書(例)

採用後に社員から障害があることや障害者手帳を所持していることの申出があった場合
・社内における障害特性に応じた支援(合理的配慮の提供義務)の対象となります。
・本人の障害特性や配慮事項などについて社内に周知する場合は、周知の範囲(全職場、配属部署、支援機関など)や周知する内容などについて、必ず本人の同意を得ることが必要です。