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5.障害特性と配慮事項 (5)知的障害

1 知的障害とは

 知的障害について明確な定義はありませんが、厚生労働省が行った「知的障害児・者基礎調査」では、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障を生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義されています。

○障害者手帳等について

  自治体から療育手帳(自治体によっては、「愛の手帳」などの名称があります)が交付されます。療育手帳の等級は、A(重度)とB(重度以外)が基本ですが、自治体によっては、B1(中度)、B2(軽度)などに区分している場合があります。
  また、地域障害者職業センターにおいて「重度知的障害者の判定」を受け、重度と判定された場合は、雇用対策上の重度に該当します。

2 障害特性

  • 知的な発達に遅れがあり、意思疎通(言葉を理解し気持ちを表現することなど)や日常的な事柄(お金の計算など)が苦手なために援助が必要な人といえます。
  • 知的な遅れがあるといっても、すべての能力が遅れているわけではありません。
  • 障害の程度、能力、意欲、体力などは個人差があり、知能指数だけで職務能力を判断することは避ける必要があります。

3 職業上の配慮

①具体的な言葉で説明する
  1.  曖昧な指示は避け、具体的に説明することが大切です。

  ・「適当なところで、作業の報告をしてください」
   →「○時に、作業の報告をしてください」
  ・「きちんと、商品を並べてください」
   →「この見本のように、向きをそろえて商品を並べてください」

②作業工程を細分化する

  複数工程の業務がうまくできない場合、職務内容を細分化し1つの工程だけを任せることで業務がスムーズにできる可能性があります。

③失敗体験を繰り返さない(成功体験を積む)

  目標を段階的に設定する、目標を絞る、具体的な到達目標を示す、習熟の成果を確認し正しい行動を強化するなど、失敗体験を繰り返さないためのミスを事前に防ぐ配慮が必要です。

<募集・採用時>
○面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認める
  • 本人が利用している支援機関がある場合は、本人との意思疎通にかかる支援や、採用後に必要な配慮事項など本人の気持ちを確認しながら相談することができます。
<採用後>
○業務指導や相談に関し、担当者を決める
  • 複数の人から仕事の指示や説明を受けると混乱してしまうことがあります。このため、担当者(キーパーソン)を決めて、指示系統を一本化することで、安心して仕事に取り組むことができます。
○本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていく
  • 一度に多くの業務を任せるのではなく、1つずつ正確にできることを確認しながら、任せる業務を増やしていくことで作業の幅が広がります。
○図や写真等を活用したマニュアル、作業手順書を作成する
  • 作業の判断基準や手順を「見える化」することで、本人が確認しながら正確に作業を進めることができます。
作業マニュアル、手順書の例

(障害者雇用マニュアル コミック版 No.2 知的障害者と働く)

(障害者の職場定着と戦力化 障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例)

(動画・DVD みんな輝く職場へ~事例から学ぶ 合理的配慮の提供~)

4 資料

障害者雇用マニュアル コミック版 No.2 知的障害者と働くの表紙画像
職域拡大マニュアル No.14 知的障害者の職場定着推進マニュアルの表紙画像
動画・DVD みんな輝く職場へ~事例から学ぶ 合理的配慮の提供~のジャケット画像