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2011ポリテックビジョンin新川が開催されました

平成23年2月19日土曜日に「2011ポリテックビジョンin新川」が富山県魚津市の北陸職業能力開発大学校(北陸ポリテクカレッジ)で開催されました。
ポリテックビジョンとは、職業能力開発大学校・短期大学校等の学生による研究開発成果の発表・展示や、技能・技術競技会等の開催等を通して、大学校等における「ものづくり」の教育訓練のシステム、内容、水準等を、ユーザーである高校生、学校関係者、事業主、企業関係者等の皆様に直接的にご理解いただくためのイベントです。

開会式の蓮覚寺広聴による挨拶の写真
入場門の写真

テープカットの写真

わが国には、世界に誇れる高品質のモノを作る技術があります。家電製品、自動車などの製造業において海外で活躍している日本の企業が多く存在するのは、日本の技術者が世界最高レベルの技術を持っているからです。資源に恵まれないわが国は、この「ものづくり」における工業技術により高品質の製品を生み出し海外に輸出することで、経済発展をしてきました。今後も将来にわたって安定した経済成長を進めるためには、「ものづくり」を担う若年の技能・技術者を育成することが不可欠です。今回は「未来の匠を目指して」をテーマに開催され、魚津市の澤崎市長をはじめ行政関係者、新川地区の企業関係者、学校関係者などが多数来場し、将来、地域の製造業を担うことになる学生の教育訓練の成果をご覧になりました。

記念講演

テーマ「深宇宙動力航行 ~はやぶさ小惑星探査~」

講演者

國中 均 氏(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所・教授・工学博士)

國中均氏がスクリーンを用いて講演を行っている写真

講演中の会場の写真

「はやぶさ小惑星探査プロジェクト」において、マイクロ波放電式イオンエンジンの開発・運用を担当された國中教授。最先端の科学技術を用いて10年以上にわたりプロジェクトに携わった國中教授の話は、宇宙にかける夢と情熱にあふれていました。技術者の「卵」であるポリテクカレッジの学生は大いに刺激を受けたことでしょう。「ものづくり」に携わることに誇りを持ち、大きな夢と目標を持って自らの技能・技術を磨いていってほしいと思います。

総合制作・開発課題のプレゼンテーション

プレゼンテーションを行っている写真

制作物の発表を行っている写真(1)

制作物の発表を行っている写真(2)

制作物の発表を行っている写真(3)

ポリテクカレッジでは、技能・技術を磨くだけではなく、物事を説明する能力も大切にしています。企業の生産現場ではプロジェクトチームを組んで共同で開発に取り組むことがあります。自分の意見を相手に伝え、相手の意見を聞き、より良い成果物を製作することが求められます。また、自らの提案や成果物をプレゼンテーションする機会もあることでしょう。ポリテックビジョンの総合制作・開発課題の研究発表では、学生が自分の言葉で相手に分かりやすく伝えることに取り組んでいます。

ものづくり競技会

競技中の写真1

競技中の写真2

競技中の写真3

表彰式の写真

ものづくり競技会では、学生による旋盤、CAD、電子回路組立てのデモンストレーションを行いました。在学中に技術を磨き、腕に自信を持つ学生が技を競い合いました。成績優秀者は校長から表彰され、今後も努力を惜しまず企業の生産現場で活躍できる人材となるよう激励されました。

ポリテックビジョンに参加していた学生にお話を伺いました。

苦労して作品を完成させることに大きな喜びがある

北陸職業能力開発大学校(北陸ポリテクカレッジ)
専門課程 電子情報技術科2年生 草 美里 さん

1.ポリテクカレッジを志望した動機について

工業高校の出身ですが、専門的な技能をさらに身につけることにより就職に有利になると思い、北陸ポリテクカレッジを志望しました。

草美里さんの写真
草美里さんと展示物の写真

2.ポリテクカレッジの教育訓練内容について

内容が非常に濃かったです。特に実習の時間が多く、機械を使用する際には自分で設定作業から始めるため、中途半端な知識や技術では対応できず、覚えないといけないことが本当に多くて、ついていくのが大変でした。
ポリテックビジョンに向けて、人間を感知し、動きに合わせて追尾する自動追尾型家電製品の開発を行いました。障害物への対処など思いどおりに動かすことに苦労して授業時間後も校内に残って取組み、1年かけてようやく完成した時には本当に嬉しい気持ちになりました。 勉強は大変でしたが、悩みや相談事があるとポリテクカレッジの先生やカウンセラーの方などに気軽に相談にのってもらうことができました。また、自治会やサークルの活動で所属科を越えた交流もあり、充実した学生生活を送ることができました。

制作物(機械)の写真

3.就職について

自動車部品、自動車電装部品、通信機器部品などの電子部品やAV機器を製造している企業に内定しています。就職活動の際にはポリテクカレッジに企業を紹介してもらったり、面接のアドバイスをもらったりとよく面倒を見ていただきました。また、内定した会社にインターンシップで仕事を経験させてもらって、職場の雰囲気を肌で感じ仕事のイメージを持つことができましたし、同社にはポリテクカレッジの先輩も働いていますので、不安なく就職することができそうです。

4.ポリテクカレッジに入学を希望する方へのメッセージ

勉強は本当に大変です。しかし苦労に苦労を重ねて、作品を完成させる喜びをぜひ味わってほしいと思います。

専門性の異なる学生と開発課題に取り組んだ経験を就職後の製品開発に役立てたい

北陸職業能力開発大学校(北陸ポリテクカレッジ)
応用課程 生産機械システム技術科2年生 野寺 修平 さん

1.ポリテクカレッジを志望した動機について

工業高校で機械を学んでおり、ロボットの製作等、ものづくりに興味がありました。ステップアップを図りたいと考えていたところ、実用的な技能・技術を習得できるポリテクカレッジを高校の先生から紹介されました。
自分が生まれ育った富山県内の学校ですし、学費・寮費が安くて経済的な負担が少ないことも魅力でした。

野寺修平さんの写真

2.ポリテクカレッジの教育訓練内容について

授業が朝から夕方まで詰まっており、特に実習が非常に多かったですね。専門課程の2年間で習得した技能・知識を基に応用課程の1年次でさらに高度な技能・知識を習得し、2年次にポリテックビジョンに向けた開発課題に取り組んで、自分自身がステップアップしているという実感がありました。
今回のポリテックビジョンに向けて、「白ねぎ、ねぎたんの検査・選別システム」の開発を行いました。応用課程では、電子や情報といった自分の専門性と異なる学科の学生と共同で開発課題に取り組みました。専門性の異なる学生が意見を出し合って互いに理解しながら進めることに苦労もありましたが、自分にはない発想に刺激を受けることができました。

ロボットをを説明している野寺修平さんの写真

3.就職後の夢や目標について

産業界のモックアップ/プロトタイプ製作などの製品開発支援業務をしている企業に内定しています。先輩が毎年入社していますので心強いですし、ポリテクカレッジで学んだことを活かしながら就職後も努力を続けて、会社の中で自分にしかできない仕事ができるような存在になりたいです。

5.ポリテクカレッジに入学を希望する方へのメッセージ

授業時間が多くて勉強は大変ですが、実習をたくさん経験することによって企業で即戦力になる技能・技術が身に付けられます。ぜひ頑張ってもらいたいですね。

北陸ポリテクカレッジの修了生を採用している事業主の方にお話を伺いました。

YKK株式会社
前黒部事業所長 松田 章 氏

YKK株式会社は、ファスナー等のファスニング商品の製造・販売、住宅やビル等の建材の製造・販売などを実施しています。北陸ポリテクカレッジに近い富山県黒部市にある同社の黒部事業所の前所長である松田氏にお話を伺いました。

ポリテクカレッジは地域の製造業の発展に欠かせない存在

当社では、北陸ポリテクカレッジの修了生を20年以上にわたり採用しています。修了生のなかには工場管理者になっている者もおり、生産現場のリーダーとして活躍してくれています。
ポリテクカレッジの修了生は、カリキュラムで実習に大変時間をかけていることから、企業の生産現場に即した技能・技術を習得しています。理論だけでなく理論に裏付けされた技術力を身につけているのは、工業高校や4年制大学の工学部の卒業生にはないポリテクカレッジの修了生の大きな特長です。

富山県は製造業が盛んで当社のほか中小企業が数多くありますが、このような修了生を採用できることは、とりわけ中小企業にとって大変助かっていると思います。技術力を持ったポリテクカレッジの修了生は即戦力となり得ます。そして修了生が生産現場のリーダーとなって活躍し、県内の製造業を支えています。

ポリテクカレッジを支援している新川地区振興会では、ポリテクカレッジの方向性や地域の企業との関わり方を議論しておりますが、ポリテクカレッジには人材育成のほか、地域の企業との共同研究にも取り組むなど多くの支援をしていただいており、地域の企業にとって欠かすことのできない存在となっています。今後もポリテクカレッジには、地域の製造業の発展に尽力していただきたいと思っています。