平成25年2月15日金曜日から2月16日土曜日にかけて「九州ブロックポリテックビジョン2013」が福岡県北九州市の九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)で開催されました。
ポリテックビジョンとは、職業能力開発大学校・短期大学校等の学生による研究開発成果の発表・展示や、技能・技術競技会等の開催等を通して、大学校等における「ものづくり」の教育訓練のシステム、内容、水準等を、ユーザーである高校生、学校関係者、事業主、企業関係者等の皆様に直接的にご理解いただくためのイベントです。
今回は、「ものづくり」九州からの発信2013」をテーマに、九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)別ウィンドウとその附属校である川内職業能力開発短期大学校(ポリテクカレッジ川内)、並びに沖縄職業能力開発大学校(沖縄ポリテクカレッジ)等が参加しました。
開会式 末岡校長による挨拶
革新的風力発電システムについて
九州大学応用力学研究所所長
新エネルギー力学部門 風光学分野 教授 大屋 裕二 氏
発電に適していないと言われている日本の風を「レンズ風車」と呼ばれる革新的なシステムで発電効率を飛躍的に向上させ、クリーンなエネルギーとして普及を進める大屋氏。地球環境問題とエネルギー保全の問題を克服するため、風力発電の全国的な普及に向けて今後の風力発電システム研究開発の進展に大いに期待したいと思います。
これからの北九州のものづくりと若者へのメッセージ
北九州市産業経済局総務制作部産業政策課長
株式会社ホリカワ代表
株式会社サンキュウリサーチアンドクリエイト勤務 元・株式会社九州テクノメタル
付加価値創生研究所代表 元・東陶機器株式会社
元・株式会社東芝セミコンダクター社北九州工場
安川マニュファクチャリング株式会社勤務(元・日産自動車株式会社)
北九州マイスター制度とは、北九州市が「モノづくり」に関わる高度技能者を「北九州マイスター」として認定し、表彰するとともにその技能を次代に継承し地域産業の振興に貢献するための活動を支援する制度です。
座談会には北九州マイスターに認定された高度技能者たちをパネリストに迎え、各パネリストたちの人生経験を基に若者に伝えたいことを語ってもらいました。マイスターたちの豊かな人生経験と逃げずにチャレンジすることの大切さや、今を一生懸命生きることが将来につながっていくといった若者へのエールとなるメッセージが印象的でした。
学生に「ものづくりの楽しさ」「まねできないものづくり」へ挑戦してもらうことをねらいとして開催されたコンテスト。旋盤加工競技、フライス盤加工競技において、学生たちが技を競い合いました。
学生たちが日頃行っているものづくりに対する製作、研究、調査等の成果が発表や展示を通して行われました。電動車椅子や幼児教育のためのシステムなど、各専門分野で様々な開発課題の成果が披露されました。
オリジナルの自立型ロボットが、フィールド内の円盤を指定された番号位置に格納する正確さとスピードが競われました。
子どもたちに、ものづくりの楽しさや奥深さを感じてもらうために設置された「ものづくり体験コーナー」。光るどろだんごや簡易LEDライト、ラジコンロボットなど作って楽しそうなものづくりの体験ができ、各ブースは九州ポリテクカレッジの近隣から訪れた親子たちで、大変賑わっていました。
九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)
専門課程 建築科2年生 岡崎 充鶴 さん
ポリテクカレッジは、専門的な勉強ができることや就職率がよかったので、より社会に出て即戦力となる知識が学べると思い、志望しました。
ポリテクカレッジのカリキュラムはみっちり組まれていて、建築の幅広い知識や専門的な知識を勉強することができ、実践的な知識が身に付きました。特に自分でゼロかの状態から木造住宅の設計をおこなう設計課題が印象に残っています。就職先も木造の建築に関わる仕事がいいなと思っていたところ、ちょうど木造建築が勉強できる研究室があったので、そこで設計課題をやらせていただきました。
木造住宅を専門としている一建設株式会社に内定しています。企業説明会で人材育成に力を入れている会社だということを知り入社を希望しました。先生にも相談にのってもらうなど就職活動のサポートしていただき1社目で内定をいただくことができました。入社後は、施工管理業務を担当し、品質管理、安全管理、原価管理、工程管理を行う予定です。
将来は、外国の建築に興味があるので、世界の建築について勉強して日本の伝統的な建築も世界に広めていけたらいいなと思います。
ポリテクカレッジでは、努力が必要ですがその分専門的な知識を身につけることができるので頑張ってください。
九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)
応用課程 生産情報システム技術科2年生 福森 未来 さん
高校の時に、ポリテクカレッジ川内のパンフレットで授業内容を見たところ実習が多く、社会に出てすぐに使える技術を身につけることができることに魅力を感じて、ポリテクカレッジ川内に進学しました。ポリテクカレッジ川内を卒業後、もっと勉強がしたいと思い九州ポリテクカレッジに進学しました。
実習が多いというのは、他の学校にないところだと思います。ポリテクカレッジでは、さまざまなテーマの開発課題があるのですが、私は現在「電動バイク」を開発する課題に取り組んでいます。電動バイクはまだあまり普及してないので、メーカーの人から学生ならではの視点で開発してほしいという依頼を受けて10人で取り組んでいます。今年初めて取り入れたテーマだったので、昨年の資料がなく、電動バイクの原理や他社でどのように作っているかなどを1から調べなければなかったため、とても大変でした。
ポリテックビジョンでも、開発課題の「電動バイク」を発表しています。まだ電動バイクは完成していないので、電気でタイヤが動くモーターを展示しています。
情報システムの企画・運用・メンテナンスサービスなどを行う株式会社富士通エフサスに内定しています。ポリテクカレッジで4年間実習を積んできて、ある程度の知識は身についていると思うので、入社後は即戦力となれるような人材になりたいです。また、情報はどんどん新しくなるので入社後も常に勉強していきたいです。
ポリテクカレッジは実習が多く、企業からの依頼により課題に取り組むことができるなどほかの学校にはない充実したカリキュラムが組まれています。社会で役立つ技術を身につけたい方にとっての環境は整っていますので、ポリテクカレッジで学ぶ内容をしっかり勉強して知識や技能を身に付けて下さい。
九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)
応用課程 生産機械システム技術科 平成19年度修了
矢野 文吉 さん
現在、アイシン九州株式会社の自動車商品事業部で働いています。仕事内容としては、トヨタ自動車の新車種が立ち上がる時に生産ラインの工程計画を立てるといったもので、大変ですが、やりがいのある仕事です。
熊本県立短期大学で2年間機械について学んでいましたが、さらにもう2年深く学んでみたいと思い、志望しました。
ポリテクカレッジでは、ある程度基礎的なことは教えてもらえますが自分で考えることも多かったと思います。ポリテクカレッジで訓練を受けて一番よかったと思うのは、計画を立ててスケジュール立てをして仕事をするというやり方を身につけることができたことです。
学校生活が楽しいと思えることが一番だと思いますので、ポリテクカレッジで充実した生活が送れるように訓練を頑張って下さい。
TOTOエンプラ株式会社(注)は、トイレやバスルーム、洗面所、キッチンといった日常生活に欠かせない製品の一部となるプラスチック部品の製造を行っている企業です。九州ポリテクカレッジのある福岡県内に工場があり、ポリテクカレッジの修了生が勤務しています。同社の企画部長である大力氏にお話を伺いました。
(注)TOTOエンプラ株式会社は平成25年4月1日付でTOTOプラテック株式会社との合併によりTOTOプラテクノ株式会社別ウィンドウに社名変更しています。
TOTOエンプラ株式会社
企画部長 大力 栄一 氏
当社では、九州ポリテクカレッジ別ウィンドウから20年以上にわたり多数の修了生を採用しており、2005年以降では7名の修了生を採用しています。
ポリテクカレッジの多くの修了生は、開発関係の部署で活躍しています。九州ポリテクカレッジの修了生は、ものづくりに対する思い入れが非常に強く、仕事に対しても熱心であるという印象を持っています。修了生の活躍は、ポリテクカレッジで機械系の基礎的な部分を学び、実践力を身につけるカリキュラムによる教育を受けてきたためだと考えられます。ポリテクカレッジからは実習生の受入れも行っていますが、実習で来られた学生が当社に入社したいと言ってくれてうれしく思っています。今後とも、ポリテクカレッジには社会で求められるスキルを身につけた良い人財を育成してほしいと願っています。
現在、当社で働いている若手のポリテクカレッジ修了生には、将来は生産現場(技術・開発含む)のリーダーとなって、会社の中核となって働いていただくことを期待しています。