5.障害特性と配慮事項 (2)聴覚障害

1.聴覚障害とは

聴覚障害とは、聴感覚に何らかの障害があるため全く聞こえないか、聞こえにくいことをいいます。
また、「聞こえない」「聞こえにくい」というだけでなく、そのことによって情報が不足しやすい面があります。

2.障害特性

聴覚障害の種類

伝音性難聴
  1. 聞こえる音が小さくなる(補聴器の効果は大きい)。
感音性・混合性難聴
  1. 音がゆがむ(補聴器の効果は小さい)。

手話を日常のコミュニケーションにしている人々の大半は感音性・混合性難聴で、ただ単に音量を大きくしただけでは言葉を聞き取れません。音量を上げると、かえって苦痛になることがあるので注意が必要です。

聴力レベル

  • 聴力の程度はデシベル(dB)という単位で表されます(風にそよぐ木や小さな寝息は約20dB、日常会話は約60dB、電車がホームに入る音は約80dB、ジェット機のエンジン音は約120dB)。
  • 聴力レベルの検査結果が両耳とも100dB以上であった場合、身体障害者手帳では2級に相当し、言語機能障害の3級(音声言語による意思疎通の障害)との重複障害で1級に認定されています。最も軽度の 聴覚障害6級の聴力レベルは、両耳とも70dB以上、または、片方の耳が90dB以上で、かつもう片方の耳が50dB以上です。
  • 聴力レベルの障害が片耳だけである場合、身体障害者手帳の交付要件には当たらないものとされています。

特徴

  • 聞こえなくなった時期など個人差はありますが、日本語の読み書きが不得意な人もいます。また、言葉を発する際にも、自分の発音が正しいかどうかを耳で確認できないため、不明瞭な発声になる場合があります。
  • 外見からはその障害が見えにくいため、コミュニケーションについての正しい理解が得にくい面があります。例えば、聴覚障害者だからコミュニケーションが全くとれないと考えられたり、逆に補聴器をつければあとは全く不自由がないと思われたりします。また、自分の意思を十分に伝えることができないもどかしさにより、心理面にも影響が出る場合があります。
  • 聴覚障害は、単に聞こえないだけではなく「情報障害」の側面に注目する必要があります。音声から得られる情報が十分に得られないために、知っていて当たり前のことがわからなかったり、常識が欠如していると見られてしまったりして、能力発揮や人間関係に影響を与えることがあります。
  • 聴覚障害者の中には、耳鳴りやめまいを感じたり、小さい音と大きい音との中間層の大きさの音に過敏になっていたりする人がいます。何でもない機械音が、仕事に支障を来すほどのストレスになっている場合があります。

3.職業上の配慮

コミュニケーションの方法

どのようなコミュニケーションの方法がよいかを本人に確認した上で、以下の基本的なポイントを踏まえながら、コミュニケーションを取っていきましょう。まず、お互いに話そうとする気持ちを持つことや話がしやすい雰囲気づくりが大事です。また、伝達事項を本人に伝えた後は、正確に理解できたか、わからない言葉はあったかなどを確認することが必要です。
コミュニケーションの方法における基本的な留意点は、以下のとおりです。

手話
  • お互いに表情を見ながら手話表現を行うことが大切であり、アイコンタクトが重要です。
  • 「手話が下手だから」と消極的にならずに、あいさつや身近なことなど簡単な手話を使って表現するなど、伝えたい気持ちを表すことが大切です。また、身振りや表情をつけたり、大切なことは筆談を併用することも大切です

手話通訳者の派遣について
聴覚障害者本人が関わっている手話通訳者について情報収集することや、市町村の障害福祉所管課、全日本ろうあ連盟加盟団体などに問い合わせるとよいでしょう。
また、障害者介助等助成金(手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金)があります。

口話
  • 聴覚障害者の中には唇や口の動きを見て話の内容をある程度把握できる人がいます。このとき、相手の顔を真剣にジッと見るため、相手は失礼と感じる場合がありますが、このことについては周囲の理解が必要です。
  • 口話では、同じような口の形は読み取りにくいので、できるだけジェスチャーを加えると、聴覚障害者の理解度が増します。(例)たまご・たばこ おにいさん・おじいさん 二(に)・四(し)
  • 口話で話すときは、相手と正面に向かい合い、自分の唇がまっすぐ見えるようにします。また、話し手の後ろに照明があたると、話を受ける側の聴覚障害者はまぶしくて唇の動きが見えにくくなる場合があるので、照明は話し手の前方からあたるようにすることが望まれます。
筆談
  • 筆談については、基本的には以下のような配慮が必要です。
  • 読みやすい文字で書く。
  • 長い文章は避け、短く区切る。
  • 5W1H(いつ どこで だれが なにを なぜ どのように)など内容のポイントをはっきり伝える。
  • 比喩や曖昧な文字は避け、具体的で明確な表現方法を用いる。
  • ひらがなだけの文章ではなく、漢字を使用するほうが理解しやすい場合もある
  • 二重否定は避ける。
その他
  • 携帯端末のアプリで日本語の音声を文字に変換して読んでいる人もいます。

環境整備等

  • 始業・終業、休憩、警報などを知らせる場合は、パトライトなど光(フラッシュライト)を利用した信号装置の設置が有効です。
  • 職場内で効率的にコミュニケーションを取ることや本人に災害などの緊急事態を知らせるために、携帯用ホワイトボード、定型文が書いてあるメッセージボードなどを用意するとよいでしょう。そのほか、電光LEDや液晶画面によって知らせる方法もあります。
  • 自宅と職場が離れているところでの連絡には主にメールが使われますが、休暇届などの書式が決まっているものをメールでやり取りする企業もあります。
就労支援機器

就労支援機器のホームページに障害者の就労を支援する機器を掲載しています。
中央障害者雇用情報センターにて相談を受けたり、貸し出し可能な機器の貸し出しを行っています。

対話支援システムの画像

対話支援システム

4.資料

障害者雇用マニュアルコミック版No.3聴覚障害者と働くの表紙画像
職域拡大マニュアルNo.9聴覚障害者の職場定着推進マニュアルの表紙画像
身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集(平成29年度)の表紙画像
動画 みんな輝く職場へ~事例から学ぶ 合理的配慮の提供~のジャケット画像

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