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「日本版デュアルシステム(専門課程活用型)」を活用し、企業で活躍する近畿職業能力開発大学校の修了生

「日本版デュアルシステム(専門課程活用型)」は、職業能力開発大学校等における教育訓練と企業における実習を並行的に実施し、「働きながら学ぶ、学びながら働く」ことにより理論だけではなく、より実践的な技能・技術を身につけることができる人材育成システムです。

近畿職業能力開発大学校(以下、「近畿能開大」という)では、平成16年10月から、概ね35歳未満の方で不安定な就労を繰り返し、教育訓練修了後に常用雇用への就職を希望している方を対象とした「生産技術科」(2年訓練)を開設し、平成19年7月に第4期生を迎えました。

今回は、近畿能開大で実施している「デュアルシステム型生産技術科」を修了して、現在、坂本造機(株)で活躍する第1期生の河合育民さんをご紹介します。

河合育民(かわい いくみ)さん

応募のきっかけ
工業高校卒業後、専門学校を経て、派遣社員として造船業の溶接工として働いていましたが、近畿能開大のデュアルシステム型訓練の学生募集広告を見て、正社員で就職したい気持ちが強くなり、デュアルシステム型生産技術科に応募することを決めました。

仕事中の河合さん

入校後の感想

デュアルシステム型生産技術科は、18歳から35歳までの学生が2年間の教育訓練を共にするため、一般の大学や短大とは学生の年齢層が大きく異なることから、今までとは年齢層の違う友人ができました。また、企業実習(注)を経験することで、より社会人に近い学生生活を送ることができました。
現在でも同じ製造業で働く、デュアルシステム型生産技術科の修了生と交流し、仕事の中での厳しさや楽しさを語り合っています。

(注)企業実習とは

2年間の訓練途中で実施する1.5ヵ月程度のインターンシップと、訓練修了間際に実施する3ヵ月以上の雇用契約に基づいた実習です。

企業実習から就職へ

坂本造機株式会社での企業実習を通して、ボール盤や汎用旋盤で実際の製品を作り上げるノウハウを学びました。そこで、現場の方の製品を作り上げることに対する真剣な姿勢と、時間をかけてもより良い製品を仕上げる姿勢を見て、「坂本造機株式会社に就職したい」と強く思いました。

就職してから

現在、製造の加工部門で土台にヤードを取り付けたり、それを取り付けるための穴あけ・ネジ切り加工を担当しています。ヤードというのはテーブルが動くための土台となる部分で、テーブルが動くためのレールの役目をしています。簡易ドリルを固定して、30個程度の小径の穴あけを順次行っていき、ネジ立てを行います。加工としては簡単な作業ですが、お客様にとって信頼のおける製品を作り上げるために、1つでもミスは許されないので、緊張感をもって充実した仕事をしています。近畿能開大ではボール盤や旋盤、フライス盤、マシニングセンタ等の加工も学びましたが、就職して、あらためて1つ1つの製品を作り上げる難しさを実感しています。今後は、技能検定に挑戦しながら、技能・技術のレベルをより高めていきたいと思っています。

坂本造機株式会社の坂本隆専務にお話を伺いました

企業実習を行う学生に対しては、一般の社員と同じ様に接し、お客さん扱いはしません。社員にとっては、人を教えることによって学ぶことがあり、普段気づいていない部分についてあらためて知ることや気づくことも多いのです。
当社において、実際の作業では、OJTで技術の伝承をしています。ハイテクだけで物が出来るものではなく、簡単な作業、技術から入り、ローテクが集まってハイテクとなります。「製品は一人で出来上がるものではなく、皆で作り上げるものであり、人あっての会社だ」と、社員が分かってくれるように教育しています。

日本版デュアルシステムの企業実習では、実習期間が長いので、色々な作業をさせて、仕事を深く教えることが可能です。会社としては、現場の一員としてしっかりとした教育や、学生の能力・適性を見て採用することができ、企業実習から就職への移行がスムーズに行えます。また、大学校側のフォローアップがあることで、学生も大学校に相談したり、時には会社の担当者に相談したりすることができるという点からも良い制度だと思います。

坂本隆専務

職場の上司、中村製造部次長にお話を伺いました

いま、河合君は早く作業をこなさなければと、時間を気にすることがありますが、まず、正確に精度を出すよう指導しています。安全が全ての基本で、厳しい指導もしますが、任せられる仕事もでてきました。私の指示するどんな仕事もイヤといわず引き受けてくれます。また、残ってでも仕事を完了させようとする責任感のある社員です。これから製造部門の色々な業務を経験しながら成長していくことを期待しています。

上司の中村純一製造部次長

坂本造機株式会社の会社概要

1951年に創業。2005年に近畿能開大に近い、大阪府和泉市テクノステージに本社・工場を移転。高精度型抜機の専門メーカとして、単に機械というハード面にとどまらず型抜き技術というソフト分野でも、グローバルな展開をしている会社です。坂本造機株式会社が製作する製品は、車両関係部材・液晶部材・弱電部材・精密部品部材等を中心にさまざまな分野で使用されています。
日本版デュアルシステムの企業実習は、平成16年度の第一期生から受入をしており、近畿能開大の修了生は、デュアルシステム型生産技術科の修了生を含め4名就職しています。

坂本造機株式会社の外観の写真

ご案内

高齢・障害・求職者雇用支援機構で実施する日本版デュアルシステムは、これまでの職業能力開発の実績をもとに、機構独自の訓練カリキュラムと人材育成に熱心な企業が連携することで、産業界の期待する、より実践的な技能・技術を身につけた人材を養成することを目的としたシステムです。